前川由理は看護婦として病院に勤めた最初の日曜日、小田医師にハイギングに誘われ処女を失った。以来、小田を初恋の人として結婚を夢みながら、楽しい毎日を送っていた。ある夜、夜中にふと眼を覚ました由理は、同寮の冴子が居ないのに気がつき廊下に出てみた。手術室の赤ランプがついた部屋の中では、小田と冴子が全裸のままで絡み合っていた。覗いていた由理は、ショックで気が転倒しながらもその場を離れられなかった。翌日、由理は小田がどんなに甘い言葉をかけても堅い表情をくずさなかった。幼な友達の弘二が白血病で入院して来たのはそんな頃だった。相当悪化しておりあと数日しかもたない命だった。弘二の父親が、女も知らずに死んでいく息子を不びんがっているのを知った由理は、自分の全てを弘二に捧げようと決心した。二人だけになると、彼に身を委ねながら由理は、幸福感に酔いしれるのだった。