人形師・大角(勝矢秀人)の持つ優秀なダミーロボット技術に目をつけたギャングの手下・クロキン(涼平)は、組織のナンバー2・追分(菅田俊)の女・マリ(田中伸子)のダミーを作らせ、それを身代わりにマリを自分のものにしようと画策する。美術監督として実績を持つ港博之の第1回監督作品だが、この監督がハードボイルド好きであることは、本作を見れば分かる。登場するキャラクターやそのファッション、セリフなどでその嗜好は映像に反映されているのだが、問題はそれらが行く先不明となってしまった物語をカバーするかのように感じられることである。餅は餅屋。さすがに大角の作るダミーロボットやその製造設備のセット等は見事な完成度なのだが、そうした表面的なアイテムが、ただ羅列されただけに見えてしまうのが、本作の致命的な欠点と言えるだろう。CGも導入したガンアクション・シーンは、カッティングのテンポの良さもあり、なかなか魅せる。(斉藤守彦)