20歳の増田優美には、34歳の石井という年の離れた女友達がいる。 フリーターの石井は変わり者で、いい加減で、無責任。 1分1秒ノリで生きているような女だが、どういうわけか優美と気が合った。 優美は母親と二人暮らし。働かないに母親に代わり、毎日パチンコ店で働きながら家計を支えている。母の言いなりになりながらも「世界一愛してる」という母の言葉に縛られて生きていた。ある日石井は『人間は人生に問いかけられている』というメモと共に、優美の前から姿を消す。それは石井からの“自分の人生を生きて欲しい”という言葉足らずなメッセージだった。 優美を母親から解放し、石井と過ごす惰性の毎日から抜け出して欲しいという石井の想いが込められていたのだ。 そして6年後。優美は都会での華やかな生活の中、ふと過去に思いを馳せる。 石井さんは今、どこで、何をしているのだろうか――。