千里武男は、父が副社長をしている会社で、ハンで押したようなサラリーマン生活をしているのがいやになった。うんざりした武男は日本を脱出、シンガポールへ飛んだ。新天地で夢と貴重な青春を思いきりぶつけてみたかったのだ。同僚の小林久里子への愛も心に秘めて……。やがて武男はボルネオへ行き、漁師のムアラジア老人と知合いになり、老人とエビとりのポンポン船に乗った。そして、武男は新しいトロール網漁法を思いついた。そして東京の久里子に頼んでトロール網を取り寄せ、試してみると大成功。彼は、エビ取りに情熱を燃やした。やがて、サルタン王に百万ドルで船を譲り、さらに大きな船を買求め、操業してみると、深すぎて失敗。やっと小舟でクチンに脱出した。一週間後、現地の漁業会社を買った武男は再度エビ取りに挑戦した。今度は土地の人々の協力でうまくいき武男は“エビの王様”といわれるようになった。そんな折、父が死んだ。臨終の場で、網を送ってくれたのが実は父だったと知り、武男は男泣きに泣いた。再びクチンに帰り、巨大なエビの冷凍工場を建設しようと立ち上った彼の傍には、日本からはるばる訪ねて来た久里子がいた。