銀行、車、エレクトロニクスなどを取り扱う総合商社、都築財閥。患者は現社長である都築耕一郎。幼い頃から悩まされ続け、苦しんできた病気。この病気をすがる思いでBJに打ち明けた。見てみれば、腹部に巨大な「顔のようなできもの」が出来ていた。この病気こそ『人面瘡(じんめんそう)』であった。幼い頃に小さなできものから始まり、やがて顔のような形となり、ついには自分に語りかける始末。用意されていた設備をフルに活用し、研究に没頭するBJ。だが、深夜に都築が突然の失踪。執事の種田とピノコを連れて捜索へと向かうが、足取りは一向につかめなかった。その頃、街ではある事件が警察を騒がせていた。全く同じやり方、そして同じ凶器で犯行を繰り返す殺人事件。決定的な証拠を見つけ出したとしても、どうも同一犯の犯行とは思えないただ一つの謎が存在した。それもそのはず、犯人の姿や形そのものが違うのだ。一人は小柄な少年の姿、もう一人は大人の女性の姿。捜査にはBJとも親交の深い高杉警部もあたっていた。奇妙な事件と奇妙な病気。高杉とBJは共に頭を悩ませていた。失踪した都築のことを執事の種田から聞いたBJは、精神的なものが作用していると悟った。車を降りて雨の中一人で捜索を始めるBJ。途中、家出少女のマリーと出会い、一人の女が怪我をしているというので、その女のもとへと駆けつけた。ダンボールハウスの中には一人の赤い髪の女が座っていた。見てみると、手から出血していたので治療を開始しようと彼女の掌を開いた瞬間、あったのは「顔のようなできもの」であった……。それを見てBJの頭によぎったのは、「解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)」の病名。すぐさま引き返し、都築邸へと向かうBJ。施錠された耕一郎の寝室、そして中にいたのは赤い髪の女であった……。