電子大学の学生斎木秀生は、地下劇場の一員で、仲間山本、燿子、波瑠美ら数人と演劇活動をしていた。このグループが打合せに集った夜、秀生は恋人の燿子を誘った。だが、燿子は妙によそよそしく、取付くしまがなかった。秀生が不思議な世界に迷いこんだのはこの夜のことだった。墓地の参道で、円城寺と名のる美しい夫人に呼びとめられたのだ。彼は、夫人に誘われるまま、車に乗り、訪れた古い洋館で一人の少女愛奴に紹介された。彼女は妖精のようだった。夫人はいつの間にか姿を消していた。秀生は燿子との充たされなかった欲望から愛奴を抱き官能の世界を漂った。秀生はその甘美な体験を忘れられなかった。そしてふたたび円城寺邸を訪れた。だが、愛奴との情事に以前と違うものを感じた。それは、円城寺夫人の視線を感じ、夫人の素晴らしい裸体を見たからだった。官能がしめつけられて喘ぐと夫人も喘ぎ、離れたままで同じ恍惚感に溺れていた。「あなたは私を愛した。愛奴は私の官能そのものです。ふとした偶然で死と生の世界を漂っているのです。どうか愛奴をお連れ下さい……」秀生は夫人の声を幻の中で聞いた。それから数日、秀生は墓をあばいて愛奴を連れ出した。だが、愛奴は乞われれば、誰にでもすべてを許す少女だった。刑事に抱かれ、新聞配達とも愛の交歓をした。そんな愛奴を、秀生はなじった。そして、誰よりも強く純粋に彼女を求めるには、と思った秀生は、禁断のものを彼女にのませた。それがために愛奴のいのちははかなくも消えてしまった。そして、手記を残し秀生の姿も……。