ベアテ・シロタ・ゴードンは、1923年にウィーンで生まれた。父、レオ・シロタは人気のピアニストで、日本のピアニスト育成のため、ベアテが5歳の頃、一家で日本へ渡る。ベアテは16歳でアメリカの大学へ単身留学するが、やがて戦争が勃発。両親と引き割かれたベアテは、戦後、日本国憲法の草案委員として再び日本へ降り立った。ベアテが起案した女性の人権条項は、14条と24条に残され、戦後の日本女性の地位確立の第一歩となる。日本国憲法第14条は「すべて国民は法の下に平等である」とうたい、24条には、「婚姻は両性の合意にのみ成立し、夫婦同等の権利を有する」と記されている。現代には当然のごとく通用している男女平等の理念が、60年前にはあり得ないことだった。本作では、実在の日本国憲法草案者、ベアテ・シロタ・ゴードンさんの人生と、この条項がもたらした戦後女性の歩みを描いていく。シロタ一家は17年間日本に暮らし、日本の国を愛した。戦後、不思議なめぐり合わせで憲法草案委員となったベアテさんは、日本女性に「人権」という大きな贈り物をしてくれた。シロタ一家の日本への深い愛情と貢献、その後の日本女性の変化は、父レオ・シロタの弟子たちの証言や、運動家たちの証言によって明らかにされ、戦後女性史の重みを感じることができる。