灰野敬二は昨年12月に広州の美術館でパーカッションソロライヴを行ったが、エレクトリックのソロ公演は中国本土では初めて。深いリバーヴに包まれたヴォーカルに始まり、エレクリックギター、エアシンセ、発振器、ドラムマシーンなど様々な機材を駆使して展開される灰野ワールドに、最初は歓声を挙げていた観客も徐々に静まり息を潜めて聴き入っている。スプリングコイルとヴォイスパフォーマンスの爆音に続き慈しむような静謐なギターフレーズで幕を閉じる。ため息をつくような間が数秒あって、突如わき上がる拍手。前夜のファウストのロックコンサート風の歓声とは明らかに異なる反応は、表現の世界観の違いが中国のオーディエンスに確かに伝わったことの証であった。